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いつの間にかお金が貯まる!財形貯蓄のメリット

「先取り貯蓄」は積立の王道。給与天引きできる財形を活用しよう

2015年8月4日

こんにちは。「ワークルールとお金の話」の社会保険労務士の佐佐木由美子です(連載トップページ:スマートフォンはこちら、パソコンはこちら)。「お手軽に、無理なくお金を貯められたら…」そのように考える方にお勧めなのが、財形貯蓄。今回は、財形のメリットについてお伝えします。

「先取り貯蓄」で貯まる体質を目指す!

お金を貯めよう!と決意しても、ついつい出費がかさんでしまい、気づけば「今月も貯金はできなかった…」とがっくりとした経験はありませんか?

お金を無理なく貯めるには、自動的に貯まる仕組みを作ってしまうことが大切。そこで、給与が入ったら、まず一定額を貯蓄に回して、残りのお金で生活をするという、いわゆる「先取り貯蓄」がお勧めです。

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ここで活用したいのが、「勤労者財産形成貯蓄」。略して、財形貯蓄と言えば、聞いたことはありませんか?

財形貯蓄は、勤労者の計画的な財産形成の促進を目的とする法律に基づく制度で、税制上のメリットが設けられています。また、財形貯蓄を行っている従業員に、奨励金の給付制度を導入している職場も多く、積立貯蓄の王道と言っても過言ではないでしょう。

この制度を利用できるのは、被用者、つまり給与をもらって雇われている人で、民間企業や団体に勤める会社員・職員や、国・地方公共団体の公務員などが対象となります。勤務先に財形貯蓄制度があれば、これを始めない手はありません。

目的別に3種類のメニューあり

財形貯蓄制度には、目的別に「一般財形貯蓄」、「財形年金貯蓄」、「財形住宅貯蓄」の3種類があります。積立額は、原則1000円以上から、1000円単位を基本とします。

お金の使い道は限定せず自由に、とりあえず貯めたい! という方には、「一般財形貯蓄」がお勧め。積立期間は3年以上、契約時の年齢制限もなく、複数の契約も可能です。

老後の生活が不安という方は、「財形年金貯蓄」も。契約時に55歳未満、5年以上の積立期間が必要となりますが、60歳以降に5年以上の期間にわたって、年金として受け取ることができます。

将来の住宅購入資金に充てたい、と目的が明確であれば、「財形住宅貯蓄」もよいでしょう。こちらも、契約時に55歳未満、5年以上の積立期間が必要となりますが、「財形年金貯蓄」と「財形住宅貯蓄」あわせて元利合計550万円(財形年金貯蓄のうち、郵便貯金、生命保険・損害保険等の保険型は払込ベースで385万円)まで非課税措置となる点でメリットがあります。

その反面、目的外の払い出しをすると、5年間さかのぼって利子が課税扱いとなってしまう点に注意が必要です。

非課税というのは魅力ですが、積立の目的がはっきりとしていなければ、「一般財形貯蓄」で積み立てるのがよいでしょう。

2015年4月から育休取得者の特例スタート

女性の場合、出産により産休・育児休業を取って長期間休業するケースが考えられます。

育児休業期間中でも、積立の継続は可能ですが、無給の場合は給与天引きができません。一般財形貯蓄においては、自由に積立の中断をすることができます。

一方、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄については、定期的な払込みを2年間中断すると、非課税措置を受けられなくなってしまいます。そのため、長期間の育児休業等を取得する場合に、財形貯蓄を継続できないケースがありました。

そこで、2015年4月1日より、こうしたケースを救済するための措置として、「育児休業者等取得者の継続適用特例」制度がスタートしました。

3歳未満の子にかかる育児休業等を取得する場合、育児休業等(産休を含む)開始前に所定の手続きを行い、職場復帰後の最初の給与支払日に積立を再開すれば、引き続き非課税での積み立てを継続できるようになりました。長期的に資産形成をしたいと考える女性にとっては、安心材料が増えることになります。

財形貯蓄制度のない職場は

数々のメリットのある財形貯蓄制度。財形貯蓄と似たものとしては、「社内預金」もあります。職場に社内預金制度があれば、検討してみる価値があるでしょう。金利は法令により0.5%を下回ることはありません。低金利の時代から考えると、かなり魅力的です。

財形貯蓄は、事業主経由で金融機関にお金を預けますが、社内預金は会社にお金を預けます。もし会社が倒産してしまうと、預けたお金が戻ってこないということも。金利が高い一方、念のためこうしたリスクも頭の片隅に入れておきましょう。

では、自分の職場に財形貯蓄や社内預金制度がないときは、どうしたらよいのでしょうか。

無理なく自動的に貯める方法として、各金融機関で提供している自動積立のサービスを利用するのもよいでしょう。

給与が振り込まれる口座のある金融機関で、毎月給与日に一定額の払込みを指定すると、自動振替で積み立ててくれるものです。これであれば、給与天引きと似たような感覚で、先取りして貯蓄をすることができます。

その他、様々な金融商品がありますので、先取り貯蓄を基本に、視野を広げていくとよいかもしれませんね。

まずは、社内の福利厚生を担当している部署に、財形貯蓄や社内預金の制度がないか確認してみてはいかがでしょうか。

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