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知らないと損する!? 健康保険の活用術

思わぬ大病やケガによる長期の就業不能を補てんする「傷病手当金」

2014年7月1日

こんにちは、社会保険労務士の佐佐木由美子です。みなさんの給与から、毎月いろいろな保険料や税金が天引きされていますが、ただの掛け捨て・・・と思っていませんか? 今回は、健康保険にスポットを当てて、いざというときの活用術についてお伝えしたいと思います。

病気で休むときにもらえるお金とは?

給与明細書を見ると、おそらく決して安くない「健康保険料」が天引きされていると思います。「厚生年金保険料」のように、将来の年金額に反映されるものではないので、ただの掛け捨てだと思われるかもしれません。

とはいっても、有無を言わさず天引きされてしまうので、「あまり深く考えたことはない」という方もいらっしゃるかもしれませんね。

そもそも健康保険は、プライベート(業務外)での病気やケガ、それによって仕事を休んだときや、出産、死亡といった「いざというとき」に備える公的な医療保険制度です。

会社勤めの場合は、健康保険組合や協会けんぽを保険者として、入社したときから強制的に加入していることでしょう。健康保険の被保険者になると、みなさんお持ちの「健康保険被保険者証」がもらえます。

この保険証があるからこそ、病院で受診したときの医療費が3割の自己負担で済むわけですが、健康保険のメリットはそれだけではありません。

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私傷病でしばらく働けないときは、休業中の生活保障として、お金がもらえるしくみもあります。これを「傷病手当金」(しょうびょうてあてきん)といいます。

たとえば、給与24万円の方が30日分傷病手当金をもらえるとすると、約16万円にもなるのです!

それでは、どうしたら傷病手当金をもらうことができるのでしょうか?

傷病手当金をもらうには?

下記の要件をすべて満たす場合に、傷病手当金をもらうことができます。

  1. 業務外の病気やケガで療養のための休業であること
  2. 療養のために働けないこと
  3. 連続して4日以上仕事を休んでいること
  4. 休んでいる間に給与の支払いがないか、支払いがあっても
    傷病手当金より少ない場合

こうした要件を満たすと、休業4日目から傷病手当金をもらうことができます。休み始めた連続する3日間は、「待期期間」といって、支給対象とはなりません。

なお、この3日間は、土曜日・日曜日などの公休日や年次有給休暇を使って休んだ日もカウントすることができますので、連続3日間の要件を満たすことは、実はそれほど難しくはありません。

たとえば、金曜日に病気になって、土曜日と日曜日も引き続き療養している場合、これで連続3日休んだことになるので、回復せずに療養を続けていれば、月曜日から傷病手当金の支給を受けることができます。

ちなみに、業務外の病気やケガ・・・といっても、美容目的の手術など、そもそも健康保険の給付対象とならない治療のための療養は除きますので、誤解のないようにしてくださいね。

また、療養のために働けない状態とは、今まで従事している業務ができない状態のことをいい、「労務不能」であるかどうかは、医師の意見とその人の業務内容など考慮して判断されます。

ですから、傷病手当金を申請するときには、必ず医師の証明が必要になります。

必ずしも入院していることが要件ではなく、自宅療養をしながら通院するような場合も認められます。

たとえば、風邪やインフルエンザが長引いて、病院に通いながら自宅療養するようなケースも対象になるので、意外と身近に利用することができるのです。