魅ならい塾 一生安心♪ マネープランの作り方
「魅ならい塾」第6回開催レポート~FP高山一恵さん
2015年5月21日
日経ウーマンオンライン主催の「魅ならい塾」がこの度、6回目(ビザ・ワールドワイド・ジャパン協力)を迎えました。今回の講師は、人気ファイナンシャルプランナーの高山一恵さん。「自分も独身時代にはお金に関して全く興味がなかったが、お金のことを学ぶと生活が変わる」という高山さんの話に、満員の参加者は身を乗り出して聞き入りました。
現代を生き抜くには、自分軸足のマネープランが必要
「かつては、国が私たち国民の生活を守ってくれました。でも、今の日本では、国や企業は生活を守ってくれません。だから、安心して未来を迎えるためには、自助努力が必要なんです」と高山さんは話します。
今回も開催会場は品川プリンスホテルNタワーの「ビジネスラウンジ」。気持ちのいい空間で、学びにも身が入ります
日本の経済成長率は、高度経済成長期には平均7 〜8%程度を超えていたのが、バブル崩壊後には1%前後にまで下がり、今は2~3%。人口が増えれば経済は好転する可能性がありますが、現在、1億2700万人の人口が、2050年には9700万人にまで減少する見込みです。このように少子高齢化が進むために、1970年頃は約10人でひとりの高齢者を支えていたのに、現代は2~3人でひとりを、2050年には1.3人でひとりの高齢者を支える時代が来るのです。
「経済成長率が下がり、少子高齢化が進むこれからの時代を生き抜くためには、お金に関する知識と、自分軸足のマネープランが必要です」と高山さんは強調します。
「自分軸足のマネープランがしっかりしていれば、結婚や出産で自分の環境やライフステージが変化しても、前に進むことができます。人生の選択肢を持つことができるのです」と高山さん。
お金の教養のステージを上げよう
「お金との付き合い方」のコツを解説する高山さん
そのためにも、「お金の教養のステージを上げる努力をしましょう」と、高山さんは提案します。
お金の教養とは、お金と上手に付き合う能力のことで、考え方、貯め方、使い方、稼ぎ方、増やし方、維持管理、社会還元の7つの要素に分けられます。「この7つの要素をバランスよくステージを上げて身に付けることが、豊かで不安のないライフスタイルを送る助けになります」(高山さん)。
では、このお金の教養ステージを上げるにはどうすればいいのでしょう? 「お金の教養ステージを上げるためのカギを握るのは、自己投資です」と高山さんは語ります。自己投資とは、より幸せになり、より自分の能力の高めることにお金も時間も使うことだそう。何にお金と時間を使うか悩んだら、自分に興味のあるものに投資をするといいそうです。
「お金と時間を有効に使いながら知識、経験を身に付けていくと、その結果、新たなお金とマインドがついてきます。そして、自分軸足が実現し、これを繰り返していくうちに、お金の教養ステージが上がってくるのです」と高山さんは説明します。
賢い貯め方は先取り貯金
真剣にメモを取る参加者の皆さん
人生には様々なライフイベントがあり、結婚費用、出産費用、教育費用、マイホーム資金、老後の生活費用など、多くの資金が必要です。その中で金額の大きい三大資金は、マイホーム、教育、老後の生活費用です。
老後の費用は、平均的な生活を送るためには、65歳までに夫婦二人分で2000万円貯めるのが目安と言われ、ゆとりある生活をするには、3500万円必要と言われています。2013年の日本人女性の平均寿命は86.61歳、男性は80.21歳なので、「女性は夫を見送って一人になってからのマネープランが大事になってきます」(高山さん)。
そこで、7つのお金の要素の中から、特に重要なのは4項目です。まずは、「貯め方」。高山さんは、「先取り貯蓄」を勧めます。給料が入ったら自動積立で貯蓄し、残ったお金で生活する習慣を付けること。収入から貯蓄を先に取り分けるので、先取り貯蓄と言います。「収入の2割を将来のための貯蓄として、さらに収入の2割を自己投資に使いましょう。もし、2割も難しいということであれば、無理しない金額からスタートしましょう」と高山さんは勧めます。手取り収入の2割を5年間貯める年収になるので、それを目標にするといいそうです。
自分のお金の使い方の傾向を知ろう
次は「使い方」です。節約に効果があるのは、保険や住宅ローンなどの固定費にメスを入れること。また、家計簿をつけるのもお勧めの方法です。家計簿が面倒な人は、ポケットの付いているファイルを用意して、住居費、食費、水道光熱費、交際費などに分け、レシートを仕分けすることから始めましょう。
一カ月に一度、溜まったレシートをざっくりと集計して、どの項目が突出しているかを調べ、そこにメスを入れるのです。ちなみに高山さんは、「スターバックスやコンビニで買う一カ月分のコーヒー代を計算したら、予想よりずっと多かったのです。そこで、スタバのプリペイドカードを買い、その金額以上は飲まないように節約しています」とのこと。コーヒー代のような小さな金額は、意識せずに使ってしまい、積もり積もると案外高額になるもの。自分のお金の使い方の傾向を知るためにも、この方法は有効です。
クレジットカードを家計簿代わりに活用するのもひとつの方法。クレジットカードを使うと、明細が出るので便利です。多くのカードを持たずに、ライフスタイルに合わせて使用するカードを絞ることが節約のポイントです。
デビットカードを活用するのも賢い方法とのこと。デビットカードはクレジットカードと違って、お買い物の都度、預金口座から利用金額が引き落とされるので現金感覚で使えます。また、口座に預けている金額以上に使うことができないので、自然に節約できます。使った金額をスマホで確認できるのも便利です。
資産運用してお金にも働いてもらおう
途中からホワイトボードも出しての白熱教室です!
三番目は「稼ぎ方」。「収入は、社会や会社からの信用を数字で表したもの。ここで、年収500万円の人と1000万円の人を比べると、1000万円の人のほうが評価が高いと思いがちですが、これは必ずしも正解とは言えません」と高山さんは話します。
1日8時間労働で250日働き、年収500万円を得ている人の時給は2500円。一方、1日14時間労働で300日働き、年収1000万円の人の時給は2380円。時給で比べると年収500万円の人より低いのです。つまり、「年収を時給換算してみて、この時給をどうやって上げるかを考えて努力すると、もっと稼げるようになります」と高山さん。
最後は、「増やし方」です。これには、収入を増やす、支出を減らす、運用して増やすという3つの方法しかありません。
高山さんは、資産運用して、「お金にも働いてもらう」ことを勧めます。「私は不動産投資と株式投資の両方やっていますが、リーマンショックのときに、株が急落して大変でした。一方、持っている不動産を貸していますが、10万円の家賃が急に1万円に下がることはありません。また、個人で株価を上げることはできませんが、不動産の価値を上げることは可能です。私は持っているマンションをリノベーションし、家賃を1万5000円上げることができました」(高山さん)。
また、株式投資に興味のある人は、ショッピングをするとき、どこの店にお客が入っているか、レストランの客足の伸び方、などを観察するのも、投資先を見つけるための感覚が養えるそうです。
「このように、お金の貯め方、使い方、稼ぎ方、増やし方を見直すことから始めてお金の教養ステージを上げ、自分軸足マネープランを実現しましょう」と、高山さんは締めくくりました。あなたも、早速、自分のできるところから始めてみてはどうでしょう?