クレジットカード関連法
クレジットカードに関する消費者保護の統一法が存在するアメリカと異なり、日本においては、クレジットカードに関する消費者保護には多くの法律が関連している。ここでは、主な法律である割賦販売法、貸金業規制法、利息制限法、出資法、個人情報保護法、特定商取引法について説明することにする。
割賦販売法
割賦販売法は1961年に制定された法律で、クレジットカード取引のうち、翌月一括払い以外の取引、すなわち分割払い(2ヶ月以上3回以上の分割)、リボルビング払い、ボーナス払いに適用される。
割賦販売法に基づく主な消費者保護は以下のとおり。
- クレジットカードの取引条件の明示義務(支払い期間および回数、手数料料率、支払総額、購入限度額、その他特約など)
- クレジットカード販売時点の書面の交付義務
- 支払停止の抗弁(ショッピングの売買契約に瑕疵があった場合、消費者はカード支払を拒絶できる)
- 個別クレジット契約のクーリングオフ
- クレジット業者の加盟店調査義務:悪質な商法が行われやすい業種(訪問販売、電話勧誘販売、マルチ商法など)に対する調査
- 指定信用情報機関の情報を利用した消費者の支払可能見込額算定およびクレジット額の制限
- 消費者のクレジットカード情報(クレジットカード番号等)の保護
- リボルビング払い手数料率の制限(経済産業省の通達により、クレジットカードのリボルビング払い手数料は出資法を遵守する必要がある。)
貸金業規正法、利息制限法、出資法
クレジットカードのうち、キャッシング部分には貸金業規制法が適用となる。業者に課される消費者保護義務の主な内容は次のとおり。
- 高金利の制限: 利息制限法、出資法により金利の上限が定められている。
- 過剰貸付の禁止:借入残高、年収を基準に審査を行うことが義務付けられ、上限額を超える貸付は禁止されている。
- 過酷な取立ての禁止:取立ての時間帯制限、暴力的・過酷な取立方法の禁止、債務者のプライバシー保護など
個人情報保護法
クレジットカード業者は個人情報取扱事業者として、カード会員の個人情報(氏名、生年月日、住所、勤務先に加え、個人信用情報機関から入手できる信用情報など)を、個人情報保護法を遵守して取得、収集、利用、開示する必要がある。
また、従来、カード情報(カード番号、有効期限等)は「特定の個人を識別できる」情報ではないとして、同法の保護が及ばないことが問題視されていたが、前述のとおり、割賦販売法によりカード情報の保護が義務付けられるようになり、また、この点に関する個人情報保護法の改正も現在検討されている。
特定商取引法
特定商取引法は、訪問販売や通信販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引(いわゆマルチ商法)、特定継続的役務(エステ、外国語など)、業務提供誘因販売取引(内職商法、モニター商法)など消費者トラブルを生じやすい取引類型を対象に、事業者が守るべきルールと、クーリング・オフ等の消費者を守るルールを定めている。これにより、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守るための法律である。